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税務基準と会計基準の違いは何ですか?

上場を目指す企業にとっては、会計基準を用いて適切に財務諸表を作成することが求められます。

 

 

税務基準と会計基準では目的が違う

 

税務基準と会計基準の違いは、目的の違いにあります。
上場を目指す前の企業のほとんどは顧問税理士と契約し、税務基準での報告書を作成していますが、税務基準は主に納税額を算出することを目的にしています。
それに対し、会計基準は投資家や株主、金融機関といった利害関係者に向けて企業の財務状況(資産や利益)を正確に伝えることを目的としています。

 

上場企業は会計基準に基づいて財務諸表(貸借対照表、損益計算書)を作成しなければならない

 

上場を目指す企業は、会計基準を採用することで、企業の財務状況を透明性をもって公開し、投資家や株主等に他の企業とも比較できる公正な状態で提供される必要があります。

 

もし、企業が多くの投資家や金融機関から注目されることを目的とした財務状況の報告を行ってしまうと、その後の経営に思わぬリスクが生じ、結果、株主からの信頼を失い、資金調達が困難になったりするリスクにつながるからです。

 

一方、税務基準は税務署に対して適切に税金を申告・納付するための基準であり、企業の経営状況の実態を厳密に反映させることを必ずしも目的としていません。

以下に、具体的な違いを一部あげます。

 

 

減価償却費の扱い

 

税務基準では、税法で定められた減価償却方法や償却年数を使用しますが、これらの基準は支払った費用の損金にあたる部分を計算し、国が税収を確保するための政策的な意図が含まれています。

 

一方、会計基準では、財産や利益という企業価値の実態把握に即した償却方法や年数を選ぶことが求められるため、より正確に企業資産の価値を反映できます。

 

そのため、会計基準では税務基準よりも減価償却が長い場合があり、5年償却が税務基準では義務付けられている場合でも、会計基準では10年償却を選択することが可能だったりし、利益計算や資産の評価が異なってきます。

 

 

引当金の計上

 

引当金(ひきあてきん)とは、従業員の退職金や賞与、設備の修繕など、将来発生する可能性のある費用をあらかじめ計上しておく見積金額のことですが、これらの費用は税務基準では、一定の条件を満たさない限り計上できません。しかし、会計基準では将来のリスクや負債を見積もるために、より柔軟に引当金を計上できます。例えば、退職金を引当金とすることは税務基準では制限される場合が多いですが会計基準では広く認められています。

 

税務基準が納税を目的としていることに対し会計基準は投資家やステークホルダーへの経営状況の正確な把握が目的

 

税務基準は納税のための基準であり、企業の財務状況を正確に示すことを目的としていません。そのため、上場を目指す企業は、会計基準に基づいて財務諸表を作成します。

 

そのため、上場を目指す企業は会計基準を採用に向けてN-2(直前々期)において、

 

会計基準に対応する適切な会計システムの導入

税務基準との違いを明確に理解し、両者の調整を行う体制の整備

会計基準への移行期間中に発生する一時的なコストや業務負荷の管理

を行う必要があります。

 

 

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